JFSCP 日本フィンランドむし歯予防研究会 大人と子どものむし歯予防
文字サイズ

TOP > 「コクラン・ライブラリー」でのキシリトール研究の発表について

「コクラン・ライブラリー」での
キシリトール研究の発表について

日本フィンランドむし歯予防研究会の「Xylitol-containing products for preventing dental caries in children and adults」に対する見解

2015年3月26日、国際NPO「コクラン共同計画※1」が発行している同団体機関誌にキシリトール製品のむし歯予防効果についてのシステマティックレビュー※2が掲載されました。この発表を受けた一部メディアの「キシリトールのむし歯予防・修復効果を示す明らかなエビデンス※3はなかった」、「エビデンスが不十分」などの報道に対する日本フィンランドむし歯予防研究会としての見解をお伝えします。

コクラン共同計画によるシステマティックレビュー(コクランレビュー)は
キシリトール製品のむし歯予防効果を決して否定しているものではありません。
日本フィンランドむし歯予防研究会は以下の2つの理由から、
キシリトールにはむし歯予防効果があると考えています。

1. コクランレビューはキシリトールがむし歯予防に有効だという証拠をみつけている

コクランレビューの結果(Key results)では「フッ化物含有歯磨き剤にキシリトールを加えたものを3年間以上使用した子供は、キシリトールが入っていない物を使用していた場合に比較して13%永久歯う蝕が減少したといういくつかの根拠が見つけられた。」と述べられています。

(原文)There is some evidence to suggest that using a fluoride toothpaste containing xylitol may reduce tooth decay in the permanent teeth of children by 13% over a 3 year period when compared to a fluoride-only toothpaste. Over this period, there were no side effects reported by the children. The remaining evidence we found did not allow us to conclude whether or not any other xylitol-containing products can prevent tooth decay in infants, older children, or adults.

ただし、コクランレビューはこのエビデンスを質の低いものと評価しています。「質が低い」とは研究実施の方法などの一部に十分でない箇所があるため、追加研究が期待されるということです。しかし、ここで重要なのは「質が低い」としても、この研究が審査においてコクランの要求する非常に厳しい基準を満たしており、その上でコクランレビュー自身が「キシリトールにむし歯予防効果がある根拠」と認めていることなのです。

  1. ※1治療と予防に関するエビデンスに基づいた医療情報を定期的に吟味し人々に伝えるために、世界展開している計画
  2. ※2過去に発表された研究報告(文献)をくまなく調査し、データの偏りを限りなく除いて行った分析
  3. ※3科学的に裏付ける証拠

2.コクランレビューで対象とならなかった研究にも科学的根拠がある

前述のようにコクランレビューでは非常に厳しく研究を精査しており、研究デザインとしてはランダム化比較試験(RCT)※4だけを対象としています。一方、キシリトールは被験者が冷涼感や呈味などで区別できる甘味料であることから、研究する際にはRCTで要求される盲検化※5が難しいといった側面があります。そのため、キシリトールのむし歯予防効果を検証する研究の多くは、コクランレビューのいくつかの基準に当てはまらなくなってしまいます。しかし、長年にわたって蓄積されてきたキシリトールのむし歯予防効果を支持したエビデンスは無価値とはなりません。試験デザインの違いはあれ、評価を得るべき研究は数多く発表されています。
また、キシリトールを配合したチューインガムに関してはコクランレビューとは違った基準で精査されたシステマティックレビューがいくつかあります。例えば「The impact of polyol-containing chewing gums on dental caries」(J Am Dent Assoc. 139:1602-14 (2008))では、結論に「う蝕予防のための日常的な口腔衛生管理の一部としてキシリトールとソルビトールチューインガムを使用することを支持する一貫した証拠がある」と述べられています。

(原文)We conclude from our quantitative systematic review of the available research that there is consistent evidence to support the use of xylitol- and sorbitol-containing chewing gum as part of normal oral hygiene to prevent dental caries.

以上の理由から、日本フィンランドむし歯予防研究会は、キシリトールにはむし歯予防効果があると考えています。これからも、日本フィンランドむし歯予防研究会は、キシリトールの活用を推奨していきます。

  1. ※4処置や薬を使った治験グループと比較対照グループ(プラセボ)を無作為に分けて行う試験
  2. ※5被験者がどの治験グループに割付けられたか、試験担当者や被験者自身にわからないようにすること

Copyright © JFSCP All rights reserved.